永住再申請
永住申請のプロセス
様々な理由で渡日し日本に在留する外国人が引き続きに在留しようと考えた場合、最終的には「永住権」の取得を当然検討すると思います。
永住権の取得には多種多様な書類を準備し申請書類として齟齬(くいちがい)なく一致させまとめなければならないので一定の知識と経験・時間的労力も要求されます。
したがって、時間に余裕があれば種類収集などできることでも、自分自身の仕事をこなしながら、永住申請の書類を正確にまとめあげる事は簡単なことではありません。
そして、2019年5月31日、法務省出入国在留管理庁は「永住許可に関するガイドライン」を改定したのです。その影響で永住申請は以前に比べて審査が格段に厳しくなっています。
2020年の統計では、永住許可率は約50%前後しかありません。
つまり、永住申請をした人の2人に1人は不許可となっているのが現状です。
「永住者」の在留資格を取得するには、出入国在留管理局へ永住申請を行い、そして厳しい審査期間を経て許可される必要があります。
その厳しい審査の内容は、前記でも説明したように「永住許可に関するガイドライン」の様々な基準が厳しくなったために2019年以前は永住申請が許可された事案でも改定後はほとんどの申請が不許可になるのが現実です。
よって、永住申請をしたが残念ながら不許可になってしまった場合、最新の許可基準や緩和要件などいろいろな角度から検討するために、再申請で失敗しないためはどうすればよいのかこのコンテンツで永住権の再申請について解説します。
永住申請が不許可になった場合
永住申請が不許可にった場合必ず「不許可通知書」が申請人もしくは申請を依頼した申請取次である行政書士等の事務所に到達します。
この不許可通知書は、何故不許可になったのかを知る大事な資料なので破棄せず大切に保管する必要があります。
そして後段で説明しますが、この不許可通知書を基に許可権者である出入国在留管理局永住審査部門に直接不許可事由を確認する事ができるのです。
不許可事由の点検
前項で説明したとおり、永住申請の不許可事由を処分権者である出入国在留管理局永住審査部門に確認する作業を行うために事前に不許可に至った事由を点検・整理します。
- 1.不許可事由を確認する。
- 2.不許可事由を絞り込み書類の点検などをおこなう。
- 3.不許可事由の確認事項をまとめる。
不許可理由を確認する
出入国在留管理局永住審査部門から送付された不許可通知書には、
「出入国管理及び難民認定法第22条第2項第2号に適合するとは認められません。」
などのように、不許可とした根拠条文を示すのみであるのが通常で、具体的にどこに問題があったから不許可となったのかは示されません。
不許可通知書が届いた後は、入管へ必要な書類を持参することで、永住申請が不許可となった理由を聞くことができます。そして、この資料は専門家に依頼する際にとても重要な資料となるのです。
そして、専門家に依頼した場合にこの「不許可通知書」を基にあなたの住所を管轄するあなたの不許可処分権者である出入国在留管理局又は支局の永住審査部門に不許可の内容を確認する事ができるのです。
ただし、当該審査部門に赴く当事者が専門家でなかった場合チャンスは一度しかないので、専門的なニュアンスや法的要件を熟知していないと、その不許可が単純なものなのか不許可事由が複雑に絡み合っているのかなど、熟練していないと永住審査部門の担当者から不許可の本質を聞き取る事は容易ではありません。
したがって、審査部門のカウンターの中に入って聞き出すことができるのは、一回のみでそして、せいぜい時間は10分程度です。
つまり、専門家は不許可のポイントを聞き出す事を理解して、永住審査部門の担当者からスムーズに聞き出す事ができるし、担当者も専門家だと知識や経験があるので説明しやすいのでお互いに申請する側のプロと審査する側のプロなのでコミュニケーションが取りやすいという側面がある事も事実です。
よって、あらかじ永住申請について経験豊富な専門家への相談を行い第三者である専門家に同行してもらうことが一番賢明な方法だと思います。適切な再申請を行うには、不許可理由の適切な聞き取りを行い、その不許可理由をもとに適切な書類を準備し直すことが重要です。
再申請の準備
出入国在留管理局永住審査部門から聞き取った不許可事由によっては、再申請可能なものもあります。再申請可能な不許可理由であった場合は、許可に至る適切な書類を準備し再申請することで永住許可が得られる可能性があります。なお、再申請をするために一定の期間を開けなければならない事は特になく、すみやかに再申請をすることも可能です。
再申請不可能な不許可事由
先ず、申請人が永住許可の要件を全く満たしていなかった場合が挙げられます。上掲でも説示したとおり2019年5月31日、法務省出入国在留管理庁は「永住許可に関するガイドライン」を改定以降は、以前と比較して大幅に審査要領が厳しくなっているのが現実です。
例えば、
(1)年収要件・扶養人数等規定要件(ガイドライン)に達していない。
(2)税金・年金・保険料等公的税金の不払いもしくは支払期日の遅延。
(3)申請内容に虚偽(うそ)・隠匿(かくしている)がある場合。
このような場合には永住許可の要件を満たすまで再申請はできません(再申請をしても再び不許可になります)。また、近年税金関係は非常に厳しく審査されているため、未納・支払遅れがある場合には永住申請は許可されません。
再申請可能な不許可事由
提出した書類に不備があったり、作成した書類が不適切だったりしたために入管担当官に要件該当性なしと判断されたような場合にはその点を是正(直す)することで再申請で永住許可を得られる可能性があります。
なお、新しい資料を作成する場合、前回の申請内容と矛盾するような書類を作成し提出すると入管に疑念を抱かれる原因となりますのでご注意ください。
例えば、
(1)ガイドラインにおける必要書類が不足していたことによる不許可ならそれを補充して再申請する。
(2)出国超過で不許可となった場合、出国が多くなってしまった合理的事由を説明する文章を作成し上申書等にまとめて再申請する。
*この場合客観的に合理的事由がなければ不可能。
あとがき
このコンテンツでは永住権の再申請の流れを具体的に解説しました。
なお、昨今の永住申請は年々厳しくなっており、一度不許可になると永住申請は一段とハードルが高くなります。
そして、再申請については永住に関する専門的な知識も必要です。その専門知識とは、年々変化する永住審査の要件を熟知していること。
不許可原因は人それぞれ全く違うため、不許可原因を詳細にチェックし申請人本人では気づかないプロとしての知見と客観的考察が必須となります。したがって、不許可になった本人ではその原因や再申請の時期そして、再申請プロセスを進める事が難しいと思われます。もし、不安で困難だなと感じられた場合には、ぜひ経験豊富な当事務所にご相談下さい。
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