永住申請が不許可になった場合
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永住申請が不許可になった場合
永住申請を自分事身で行い、結果的に不許可になった方は数多くいるかと思います。2020年の永住権許可率は約50%であり、したがって、申請した外国人のうち二人に一人は不許可になっている計算になります。
永住申請が不許可になった場合は再申請を行うこととなりますが、この記事では、再申請で永住権を取得するにはどのような対応が必要なのかを以下のとおりご説明していきます。
不許可事由を確認
再申請に向けて、まずは永住権の不許可理由を確認することが必要です。永住権の不許可理由は、申請した入国管理局で確認することができます。そして、入国管理局の担当官(当該審査の担当ではない)から不許可の主な理由が述べられます。
ここで注意してほしいのが、入国管理局は不許可の理由を伝える必要はあるもののすべての理由を伝える義務はないということです。したがって、不許可の面談では必ずすべての不許可理由を確認し、どうすれば再申請して許可の見込みが生じるか確認することが重要です。
不許可理由の確認にご不安がある方は、永住申請を専門にしている専門事務所などに入国管理局への同行を依頼する事で、一般人には中々理解しにくい不許可事由を精査し、今後の永住再申請に向けて許可に導く対策が立てられるはずです。
永住申請が不許可になる代表的な事例
先ず永住申請が不許可になる原因は主に2つが挙げられます。
基本的に許可要件を満たしていない場合
書類の不備や状況説明が不足している場合
1.基本的に許可要件を満たしていない場合
ネットの情報やあいまいな都市伝説的なものを根拠に、漠然と永住申請をする場合。そして、現時点では「許可要件を満たしていない」と入管が判断したことになります。きちんと永住申請の要件を確認し、要件を満たしている状態までに状況を整えたうえで再申請を行うことになります。
このような場合、すぐに要件を満たしている状況を作るのは難しいため、再申請までに一定期間を要することが想定されます。
2.書類の不備や状況説明が不足している場合
本件事例は、きちんと書類を提出していたり、何かしらの不利益状態があった場合は、当該内容に関する状況説明書を提出していれば、許可になった可能性があります。
つまり不許可理由を確認し、不許可理由をクリアできそうであれば、すぐに再申請を行い、永住権許可を得ることができる可能性があります。
再申請においてどのような書類を集めたり、どのような対策をしどのような内容の説明書を作成したりすればいいのかは専門家でないと、なかなか準備する事は困難です。そのような場合は、やはり永住申請の専門家に任せるのが特策だと思料します。
永住申請が不許可となる5つの具体的な理由
上掲では永住申請が不許可になる2つ事件を紹介しましたが、次は4つの具体的な理由を紹介いたします。永住申請が不許可になったほとんどのケースで下記のいずれかに該当しているので、チェックを行い、再申請に臨みましょう。
1.年収要件を満たしていない
永住申請においての年収は、就労系ビザ⇒永住権を申請する方で直近5年分、身分系ビザ(日本人配偶者など)⇒永住権を申請する方は直近3年分の収入が審査の対象となります。
尚、収入は原則市町村役場が発行する住民税の課税証明書をもとに確認が行われます。
年収目安:300万円以上
就労ビザなら申請日の直近5年で連続して300万円以上の年収があることが必要です。また配偶者や子どもなどの扶養者がいる場合は、扶養者一人あたりに30万円程度の上乗せが必要となります。
例)
夫の在留資格:技術人文知識国際業務
妻の在留資格:家族滞在
※妻は夫の扶養に入っている。
上掲事例で永住権を取得したい場合、少なくとも夫の年収は330万円ほどあるのが望ましいです。
※妻の家族滞在でのアルバイト収入は原則世帯収入に加算することはできません。妻も夫と同様に就労系の在留資格を保持している場合は、妻の収入も世帯収入として見てもらえる可能性が高いです。
その他日本人配偶者等の場合でその夫または妻の扶養に入っている外国人の方は、日本人配偶者等を本体として年収要件を基準とする方法で要件を満たす事になります。
2.税金・年金・保険料の支払い遅滞や未払いがある
住民税は直近5年分、年金・保険料は直近2年分の支払い証明書を永住申請時に提出します。
つまり、上記期間に未払いや支払いの遅滞がある場合は、永住申請が不許可になる可能性が高いです。会社員の方で給料から天引きされている方などは心配ないですが、個人事業主の方でご自身で支払う方や、会社員の方でも転職活動期間の無職期間に支払い漏れが発生している場合があるので注意が必要です。
3.長期出国の場合
永住申請は居住要件があり、原則10年以上引き続き日本に住んでいることが必要です。
※日本人や永住者の配偶者の方は、結婚してから3年経過していれば1年でOK。
高度専門職の方は70点以上で3年、80点以上の方は1年となります。
上記居住期間において、海外出張などで年間100日以上日本から出国をしていると、居住要件に引っ掛かり、不許可になる可能性が高いです。
ただし、年間100日以上出国をしていても、その出国に合理的な理由がある場合は、許可される可能性もあるので、会社側の出張命令で海外出張など長期出国が多い場合は、きちんとその理由や目的を文章で説明してゆくことが重要です。
4.申請理由書や添付書類に不備がある場合
永住申請時には永住権を取得したい理由を文章で記載しますが、その内容と申請書類に矛盾があったり、余計なことを記載するなどで、審査上不利益になる事例があります。その他、上記にも記載したように、出国が多い場合などの理由や経緯、それを裏付ける資料に不足があると、せっかく許可なり得る申請も不許可なってしまう事例があります。
永住申請は、日本の永住権を付与するか否かを決定する審査なので、入国管理局も極めて慎重に判断を行います。永住の要件は多岐にわたり、永住権を取得するためにはすべての要件を満たし、日本の永住権を付与しても日本の国益にかなう人物である事が重要です。
5.申請内容に虚偽・隠匿がある場合
最後にこの内容は極めて重要な内容なので十分注意をして下さい。
先ず、申請内容は多岐にわたるのでそれらが全て一致しなければなりません。具体的に主なものを掲げると、
経歴の詐称(いつわり)
学歴の虚偽(うそ)
前婚の有無の隠匿(かくす)
法令違反の隠匿
などです。
(1)は職歴などを適当に記載し報告したり、過去に無職の期間があったにも拘わらずそれを報告しなかった場合などです。
(2)については、特に専門士などの専門学校で現在や過去の職種について、入国管理局から疑義をもたれた場合追加資料を要求され学校側の成績表を改ざんするなどした場合です。
(3)については、あまり具体的には説示する事は避けられますが、前婚と現婚との間が一ヶ月だったり本国での結婚・離婚を隠匿した例が本件事例にあてはまります。
(4)については、過去に法令違反があったにもかかわらず、それらを隠して申請する場合です。
具体的には、窃盗や不法入国、不法残留(オーバーステイ)があり裁判所や警察又は入国管理局などから一定の処分がされたにもかかわらず、本件事例を隠匿して申請した場合です。
あとがき
一般の永住申請については、過去10年間の在留状況及び5年間の就労状況が審査の対象となります。つまり、あまりにも審査対象期間が長すぎるために条件を具備する事は容易ではありません。
したがって当所は長く永住申請に携ってきた中で申請者単独の申請で虚偽や隠匿があったために永住申請不許可となり、数年間悩み苦しんだ挙げ句当所に依頼者として来所する人々を数多く見てきました。
よって、万が一にも上掲にあてはまる事例で不許可になった場合には、有料でのご相談も用意しているので、お気軽にご相談下さい。
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