高度専門職の在留資格変更解説
目次
高度専門職の解説
高度専門職を取れる外国人は高度人材と呼ばれます。高度人材の取得方法は以下のとおりです。
条 件 | カテゴリー |
年齢が若い | 共通 |
高学歴(修士・博士以上) | 〃 |
高収入(年収が高いと社会から評価されているとされる) | 〃 |
日本語能力が高い | 〃 |
国内外において学術研究実績がある | 高度専門職1号(イ) |
法律・会計業務など国家資格者など | 〃 (ロ) |
日本に投資している | 〃 (ハ) |
高度専門職における申請時期
(1)転職・昇給などで高度人材の該当基準を満たすようになり在留資格変更許可申請する。
(2)昇給などで高度人材の該当基準を満たすようになってからの在留資格更新許可申請の時。
(3)高度人材の該当基準を満たす海外在住の外国人を日本に呼び寄せる時(在留資格認定証明書交付申請)
以下、一定の要件を満たすことにより出入国管理上の優遇措置を受けられる「高度人材ポイント制」の活用についてわかりやすく解説します。
高度専門職1号(ロ)の解説
本来の外国人の事務系ホワイトカラー職種は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格にあたります。自然科学または人文科学の分野に属する技術または知識を必要とする業務が該当します。これに、学歴・職歴・年収などに基づく「ポイント制」による評価で優遇措置を受けることができるようになりました。これが「高度専門職1号(ロ)」の在留資格です。
「技術・人文知識・国際業務」と「高度人材1号(ロ)」比較
技術・人文知識・国際業務
①次のいずれかを満たすこと
・自然科学または人文科学の分野に属する技術または知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、またはこれと同等以上の教育を受けたこと。
・自然科学または人文科学の分野に属する技術または知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと(専門士または高度専門士)
・10年以上の実務経験(大学などで関連科目を専攻した期間を含む)
②日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
「高度専門職1号ロ」を取得する方法
1の要件に加えて、学歴・職歴・年収などの評価項目ごとの点数の合計が70点以上あることが必要です。
例示Ⅰ(評価70点に達する例)
・外国の大学で修士・博士号を両方取得(30点)
・コンピューター関連のSE(システムエンジニア)として7年の職歴(15点)
・年収600万円(20点)
・36歳(5点)の場合。
例示Ⅱ(評価70点に達する例)
・日本の大学を卒業して学士を取得(10点)
・日本の大学を卒業(ボーナス10点)
・日本語能力試験でN1を取得(15点)
・年収450万円(10点)
・勤務先の法人がイノベーション促進支援措置を受けている。(10点)
・投資運用業務に係る業務に従事(10点)
・38歳(5点)の場合。
特例措置
高度人材として、入国・在留が認められた場合以下のような優遇措置を受けられます。
・複合的な在留活動の許要(許可された活動以外の活動ができる。)
・「5年」の在留期間の付与
・在留歴に係る永住許可要件の緩和
・配偶者の就労(働ける範囲が多くなる。)
・親の帯同(一定の要件あり)
・家事使用人の帯同(一定の要件あり)
・入国・在留手続の優先処理
上記以外の高度ポイント制の説明
高度専門職は1号・2号に分かれ、さらに1号はイ・ロ・ハの三種類に分かれます。
「高度専門職1号」とは
高度人材と認定された外国人に最初に付与される在留資格です。改正前は「特定活動(高度人材)」が発行されていましたが、今回の改正で独立した在留資格として登場しました。
活動の内容により3つに分類され、「学歴」「職歴」「年収」に応じてポイントを算定します。申請できる外国人は、就労ビザを取れる要件を満たし、ポイントが70ポイント以上の方となります。
在留資格 | 活動内容 |
高度専門職1号(イ) | 高度学術研究活動
「教授」「研究」「教育」などにあたる |
高度専門職1号(ロ) | 高度専門・技術活動
「技術・人文知識・国際業務」(国際業務を除く) 「企業内転勤」「法律・会計業務」などにあたる。 |
高度専門職1号(ハ) | 高度経営・管理活動
「経営管理」などにあたる。 |
くわしく知りたい方は ➡ ポイント計算表
くわしく知りたい方は ➡ 疎明資料
優遇内容
・複合的な在留活動の許可(許可された活動以外の活動ができる。)
・「5年」の在留期間の付与
・在留歴に係る永住許可要件の緩和
・配偶者の就労(就労の範囲が広がる。)
・親の帯同(一定の要件が必要。)
・家事使用人の帯同(一定の要件が必要。)
・入国・在留手続の優先処理
「高度専門職2号」の解説
在留資格「高度専門職1号」を持って一定期間(3年以上)在留した者に付与されます。
メリット
1.高度専門職1号の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
2.在留期間が無期限となる
3.「高度専門職1号」の優遇内容3~6までの優遇措置が受けられる
ポイント
高度専門職1号のメリット1の“複合的な在留活動の許可”は認められた主な活動以外の活動を行うとき、主な活動と関連していることが必須ですが、高度専門職2号では関連が必要なくなります。
高度専門職の内訳
在留資格「高度専門職」は、優秀な外国人の受け入れを促進するために設けられた制度です。高度人材ポイント制で、「学歴」「職歴」「年収」などの項目にポイントを設け、合計70点以上の外国人が取得できます。
高度人材は3つの活動内容に分けられます。
高度学術研究活動 | 日本の講師の機関との契約に基づいて行う研究、
研究の指導又は教育をする活動 |
高度専門・技術活動 | 日本の公私の機関との契約に基づいて行う自然活動
又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動 |
高度経営・管理活動 | 日本の営利を目的とする法人等の経営を行い又は
管理に従事する活動 |
在留資格「高度専門職」は1号と2号に分けられます。「高度人材2号」は1号からしか変更できません。つまり必ず全員「高度人材1号」を経ることになります。
「高度専門職」の在留資格を取得できると、一般の就労系在留資格とは違い優遇されていることがあります。それを下記にまとめます。
「高度専門職1号」の場合
・1.複合的な在留活動の許容
外国人は許可された在留資格の範囲内でしか活動できませんが、「高度専門職」を取得すると関連する複数の在留資格もまたがる活動も行うことができるようになります。
・2.在留期間「5年」の付与
他の在留資格、例えば「技術・人文知識・国際業務」の場合は本人の経歴や、企業の信頼度によって「1年」か「3年」が多いですが、「高度専門職」の場合は「5年」が与えられます。
・3.在留歴に係る永住許可要件の緩和
永住許可は日本で10年以上居住し、その中で5年以上の就労経験が必要ですが「高度専門職」は「高度専門職」の活動を5年以上行っていると永住許可要件を満たします。
・4.配偶者の就労
外国人配偶者は「家族滞在」の在留資格となり、資格外活動許可を取得しても週28時間までという制限があります。また社員として「技術・人文知識・国際業務」の活動を行おうとする場合は「技術・人文知識・国際業務」の取得要件として本人の学歴の要件が必要ですが、学歴等を満たさない場合でも就労できるようになります。
・一定の条件の下での親の帯同
高度人材の親や、高度人材の配偶者の親を呼ぶことができるようになります。外国人の親については、そもそも在留資格がないため日本で同居するためにはかなりの老齢であるとか病気があるなどの要件があり難しいのですが高度専門職の場合はハードルが下がります。
【親の帯同要件】
・高度人材の世帯年収が800万円以上であること
・高度人材と同居すること
・高度人材またはその配偶者のどちらかの親に限ること
上記の要件を満たし、
・高度人材の7歳未満の子を養育する場合
または
・高度人材本人または高度人材の配偶者の妊娠中の介助を行う場合
に親を呼び寄せることができます。
・6.一定の条件の下での家事使用人の帯同家事使用人は通常「経営管理」や「法律会計業務」の在留資格を持つ一部の外国人にしか認められておりませんが、「高度専門職」を取得すれば家事使用人を帯同できるようになります。
・7.入国・在留手続の優先処理
一般の就労系在留資格の審査は1ヶ月から3ヶ月かかりますが、高度専門職の場合は5日~10日の短い期間で審査を終わるように優先されます。
「高度専門職2号」の場合
「高度専門職2号」は「高度専門職1号」で3年以上活動を行っていた方が対象になります。
「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
在留期間が無期限となる
在留期間が無期限となるので、実質永住許可と同じ意味を持つようになります。
「高度専門職1号」と同様3から6までの優遇措置が受けられる。
あとがき
法務省は,高度の専門的な能力を有する外国人材の受入れを促進するため,「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度以下「高度人材」という。」を2012(平成24)年5月に導入しました。
そして、ポイント制では,「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つの活動類型を設定し,それぞれの特性に応じて,学歴や職歴,年収などの項目ごとにポイントが設けポイントの合計が,70点以上に達した方に,出入国管理上の優遇措置を実施しています。
しかし、この高度人材制度も設立当初は理系大学出身者に多く加点項目が集中し反射的に文系大学出身者には原則加点以外加点項目がほとんどありませんでした。そこで、法務省は数回の制度見直しを行い理系文系にかかわらず現在のバランスの取れたポイント制度を確立しました。今後もより一層詳細は見直されるものと思われますが、手続も年々煩雑になってきているので一人での申請が不安だと思われる方は、経験豊富な当所にご相談下さい。
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