永住権と年収要件
永住申請の中で根幹的な基準が年収額になります。
*(地方出入国管理局)以下当局という。
つまり、基本的には年収が300万円以上ないと審査が厳しくなります。
(当局の審査基準に明白な年収要件が存在するわけではありません、しかし現在では生計概要に関する継続的安定性の観点から*在留資格別に300万円×年数が具備しないと例外を除きほぼ不許可になっているのが現状です。)
*以下 就労系・身分系の在留資格
就労系(技術・人文・国際業務・技能・介護等)の就労資格から永住資格に在留変更したい申請者は、過去3年分の年収額が審査されます。つまり300万×3年分ということになります。
又、同じ就労系の在留資格である「経営・管理」の場合は自分自身で会社を経営しているわけですから年収額に加えて会社の内容(黒字・赤字の有無、売り上げ、資産状況など)も同じ比重で審査されるので注意が必要です。
そして、身分系である日本人の配偶者・永住者の配偶者・特別永住者の配偶者から永住資格に在留変更したい場合には、過去1年分の年収が審査されます。
加えて、同じ身分系である定住者(告示・告示外)に関しては、永住資格に在留変更する場合、就労系と同じ3年分の年収が審査対象になります。
就労資格の外国人は基本的に本人に年収300万以上あることが必要です。結婚していて、主婦などで扶養されている外国人の方は、その配偶者の方が年収300万円以上あることが必要です。
本人が300万以上あれば問題ないと考えられるのですが、少し足りない場合はどうしたらいいのでしょうか?もし、配偶者が家族滞在でアルバイトをしている場合に年収数十万ある場合でも年収に加算することはできません。
2019年の出入国管理法(永住審査要領)改正以前は本人と配偶者合わせて300万超えれば永住許可の可能性を高くなり、世帯年収全体で許可されることがありましたが、現在は申請人単独で300万円以上の年収が求められます。
又、家族滞在の方が家族滞在資格は週28時間までしか働くことができません。それ以上働いていることが審査の中で露見すればそもそも永住資格の申請はおろか在留カードの裏面に資格外活動について「風俗不可」と記載されていますが審査の中で風俗での就労が発覚した場合、重度の違反となり最悪の場合、退去強制事由となり強制退去又は出国命令処分になる可能性があるので注意が必要です。
年収の証明方法は、納税証明書と課税証明書です。この書類には毎年の年収額が記載されています。市区町村役場で取得することが可能です。会社から発行される給与明細や源泉徴収票で証明するわけではありません。この点、会社経営者や個人事業主のような確定申告義務者の方はご注意ください。
さらに永住申請においては、税金を完納していることが必須ですので納税証明書を取得してみて、万が一未納額があった場合はしっかり税金を全額支払った後に再度納税証明書を取得する必要があります。
又、扶養人数については年収が300万以上あっても、年収に比べて扶養人数が多すぎる場合は、年収が300万円あっても永住が許可になるとは言えません。扶養人数1人あたり年収60万~80万をプラスして考えたほうがよいです。
したがって、妻が1人いれば年収が360~380万必要だということです。
そして、子供が一人増えるごとに年収60万~80万をプラスするので、
永住申請者(人)+ 妻 + 子供 =420万~460万が必要になります。
そして、自分自身の家族を扶養人数に入れる事は当然ですが、不必要に本国の父母や兄弟を扶養に入れている場合には、本国に対する送金証明などのエビデンスを提出できない場合、当局審査部門は「税逃れ」つまり、所得税の支払を回避する脱税行為とみなされるので、場合によっては早急に扶養人数を減らすことも必要になります。
この300万円という基準は、永住許可の要件である「独立生計を営むに足りる資産または技能を有すること」という要件を基礎としています。
つまり、この要件は現在の日本国における経済状況やその他の事情を総合考慮し、申請者人に日本国が「永住者」というステータスを付与するにふさわしい経済における継続的安定性(1)を創出する知識・資産・技能・技術の基礎を有し日本国の国益にかなう要件を指しているわけですから、当局は申請人の過去に積み上げてきた在留状況(審査対象期間の全てが審査対象になると思料されます。)
即ち、審査期間の収入面だけではなく、
社会保険料(国民健康保険)
年金
税金(所得税・住民税)
など(1)~(3)の支払いの支払期日の順守をしないで、
・支払の未納もしくは滞納をしている。
・滞納をしていたが申請前に一括で支払った。
・支払の遅延(いつも期日に支払わない)を繰り返している。
などの場合には収入面で条件をクリアしても支払面で期日どおりの支払をしていない場合には経済面に加えて人格面(期日を守らずだらしがない、払い汚いとみなされる。)も考慮対象となり消極要素となり必然的に永住申請が不交付、つまり不許可になる蓋然性が高くなります。
あとがき
このコンテンツの主要部分のテーマは年収要件ですが、今回皆さんにお伝えしたかったのは永住審査において当局の審査はどこを重視して審査をしているのかという事をお伝えしたかったのです。当局は収入の主要部分と同様に公的支払部分も重要な審査対象となっています。
したがって、日本で在留する中で公的支払が按分比例を含めて会社負担であれば問題は在りません、しかし、就労資格の中でも自ら公的支払をしなければならない、例えば外国企業に勤務する就労資格者もしくは会社経営者である「経営・管理」資格者又は中途退職や転職などの期間が前述に該当する場合注意が必要です。本件も含めて不安のある方は有料・無料相談を用意しておりますのでお気軽にご相談下さい。